家の中をどんなに清潔にしていても、ある日突然現れるチャバネゴキブリ。彼らは、クロゴキブリのように屋外から単独で飛来してくることは稀で、その侵入経路は、より巧妙で、私たちの日常生活の中に潜んでいます。主な侵入経路を知ることは、新たな敵の侵入を防ぎ、駆除後の再発を防止する上で、極めて重要です。チャバネゴキブリの最も一般的で、そして最も気づきにくい侵入経路、それは「物への付着」による持ち込みです。特に、飲食店やスーパーマーケット、あるいは集合住宅の他の部屋など、すでにチャバネゴキブリが繁殖している場所から、彼ら本体や、その卵鞘(卵のカプセル)が、様々な物に付着して、知らず知らずのうちに家に運び込まれてしまうのです。その代表格が、「段ボール」です。保温性と保湿性に優れ、狭い隙間がたくさんある段ボールは、チャバネゴキブリにとって絶好の隠れ家兼輸送手段となります。倉庫などに保管されている間に、段ボールの波状の隙間に卵が産み付けられ、それが宅配便などとして、私たちの家に届けられてしまうのです。また、スーパーマーケットでもらった段ボールや、中古で購入した家電製品の箱なども、同様のリスクをはらんでいます。次に警戒すべきなのが、「観葉植物」や「他所から持ち込んだ家具や荷物」です。植木鉢の底や、家具の裏側に、卵鞘が付着している可能性があります。また、友人宅や実家など、頻繁に行き来する場所に、もしチャバネゴキブリが繁殖していた場合、あなたのカバンや衣類に付着して、一緒に「お引っ越し」してきてしまうことも十分に考えられます。集合住宅の場合は、さらに複雑です。壁の中の配管や、電気配線を通る隙間、あるいは共用の廊下などを通じて、隣や上下階の部屋から直接侵入してくるケースも少なくありません。一度、建物内のどこかで繁殖を許してしまうと、建物全体が汚染されてしまうリスクがあるのです。チャバネゴキブリとの戦いは、家の中だけの問題ではありません。外から物を持ち込む際の、ほんの少しの注意と警戒心が、あなたの家を静かなる侵略から守るための、最初の、そして最も重要な防衛ラインとなるのです。
チャバネゴキブリはどこから?主な侵入経路