「たかが数ミリの虫だし、木くずが出るくらいなら掃除すればいい」とキクイムシの被害を軽く見て放置してしまうことは、家の寿命を縮め資産価値を毀損する緩やかな自殺行為に等しいと言えます。キクイムシ一匹が食べる量は微々たるものかもしれませんが、彼らは一度侵入するとその場所で繁殖を繰り返し、毎年春になるたびに成虫が脱出して新たな穴を開け、さらにその成虫が近くの木材に再び卵を産むというサイクルを何年も継続するため、被害は加速度的に拡大していきます。初期にはフローリングの一部だけだった穴が、数年後には部屋全体、廊下、そして隣の部屋へと広がり、床板の強度が低下して歩くとギシギシと音が鳴ったり、最悪の場合は床が抜け落ちたりする物理的な損傷を引き起こします。また、柱や梁といった構造材に被害が及んだ場合、耐震性が著しく低下し、地震発生時に倒壊のリスクが高まるだけでなく、売却しようとしても「シロアリ・害虫被害あり」というレッテルを貼られ、不動産としての価値が暴落することは避けられません。さらに精神的なストレスも無視できず、毎日増え続ける木くずを掃除する手間や、いつどこから虫が出てくるかわからない不安感は居住者の生活の質を著しく低下させます。キクイムシによる被害は目に見えるスピードは遅いものの、確実に家の内部を蝕んでいく進行性の病気のようなものであり、「気づいた時が対策の始めどき」と捉え、被害が軽微なうちに徹底的な駆除を行うことこそが、将来の莫大な修繕費と後悔を防ぐための唯一の防衛策なのです。