自宅のベランダなどに鳩の巣が作られてしまった場合、単に「鳥がいる」というだけでは済まされない、様々な深刻な被害を引き起こす可能性があります。見た目の不快感や「クルックー」という独特の鳴き-声による騒音は、実は被害の序章に過ぎません。最も深刻な問題は、鳩の糞がもたらす「健康被害」と「建物の劣化」です。鳩の糞には、クリプトコッカス症やサルモネラ食中毒、鳥アレルギーといった、人体に有害な病原菌やアレルゲンが数多く含まれています。乾燥した糞がエアコンの室外機などを通じて空気中に飛散し、それを吸い込んでしまうことで、重い呼吸器系の疾患を引き起こすリスクがあります。特に、免疫力の低い小さなお子さんや高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では、決して看過できない問題です。また、鳩の糞は強い酸性であるため、金属を腐食させる性質を持っています。室外機や手すり、金属製のサイディングなどに糞が長期間付着すると、塗装が剥がれたり、金属が錆びて腐食したりする原因となります。ベランダのコンクリートも、糞によってシミができたり、劣化が早まったりします。さらに、鳩の巣や体には、トリサシダニやノミ、シラミといった害虫が大量に寄生しています。これらの害虫が巣から室内へ侵入し、人を刺して激しい痒みを引き起こしたり、アレルギーの原因となったりする二次被害も発生します。美観を損なうだけでなく、強烈な悪臭の原因ともなり、洗濯物を干すことや窓を開けることすらためらわれるようになります。最初は小さな巣でも、放置すれば被害はどんどん拡大し、私たちの健康的で快適な生活を静かに、しかし確実に蝕んでいくのです。美観や資産価値の低下にも直結する深刻な問題なのです。