植物にハダニ(赤蜘蛛)の発生を見つけたら、一刻の猶予もありません。彼らの爆発的な繁殖力を前にしては、「明日やろう」という先延ばしが、手遅れを招く最大の原因となります。被害の拡大を防ぐためには、発見したその日のうちに、迅速かつ徹底的な駆除作業を開始することが鉄則です。駆除の方法は、被害の深刻度によって異なります。まず、発生がごく初期段階で、被害が一部の葉に限られている場合は、物理的な除去が最も手軽で安全です。被害にあった葉を、他の部分にハダニを広げないように注意しながら、ハサミで切り取り、ビニール袋に入れて密封し、処分します。あるいは、粘着力の弱いテープなどを使って、葉の裏のハダニをペタペタと貼り付けて取り除くという方法も有効です。次に、被害が株全体に広がり始めている場合は、「水」を使った駆除が効果的です。ハダニは水を極端に嫌います。ホースのシャワーや霧吹きを使い、特にハダニが密集している葉の裏側を中心に、強い水流で洗い流してしまいましょう。これを数日間連続して行うだけでも、その数を大幅に減らすことができます。牛乳を水で薄めたものをスプレーするという民間療法もありますが、散布後に洗い流さないとカビの原因になるため注意が必要です。もし、これらの物理的な方法では追いつかないほど大量に発生してしまった場合は、最終手段として「薬剤」の使用を検討します。この時、注意すべきなのが、一般的な殺虫剤はハダニには効果がない場合が多いということです。必ず、園芸店などで「殺ダニ剤(ダニ専用の農薬)」を購入してください。薬剤には様々な種類があり、卵に効くもの、成虫に効くものなど特性が異なるため、複数の種類をローテーションで使用すると、薬剤抵抗性がつきにくくなります。使用する際は、必ず説明書をよく読み、用法用量を守って、葉の裏までムラなく散布することが重要です。
ハダニ(赤蜘蛛)の駆除はスピードが命!初期対応と駆除方法