ハダニ(赤蜘蛛)との戦いにおいて、最も賢明で平和的な解決策は、彼らを駆除することではなく、そもそも「発生させない」環境を日頃から作り上げておくことです。ハダニの発生は、多くの場合、植物が置かれている環境、特に「乾燥」と「風通しの悪さ」に起因します。これらの弱点を突き、彼らにとって居心地の悪い環境を維持することが、最強の予防策となるのです。まず、最も重要なのが「湿度管理」です。ハダニは、高温で乾燥した環境を好んで大発生します。逆に言えば、湿度の高い環境は彼らにとって非常に住みにくい場所なのです。これを実現するための最も簡単で効果的な方法が、定期的な「葉水(はみず)」です。霧吹きを使い、植物の葉、特にハダニが潜む葉の裏側を中心に、毎日、あるいは2~3日に一度、霧状の水を吹き付けてあげましょう。これにより、葉の周りの局所的な湿度を高め、ハダニの活動を抑制することができます。また、葉水は、葉の表面のホコリを洗い流す効果もあり、光合成を活発にする上でも有効です。次に重要なのが、「風通し」の確保です。空気がよどんだ場所は、湿気がこもりやすく、ハダニにとっての温床となります。植物を密集させて置くのを避け、鉢と鉢の間に十分なスペースを確保しましょう。定期的に剪定を行い、内側に向かって伸びる枝や、混み合った葉を取り除くことで、株全体の風通しが良くなります。室内で管理している場合は、サーキュレーターなどで、穏やかな空気の流れを作ってあげるのも良いでしょう。さらに、日々の「観察」も欠かせません。水やりの際に、一枚で良いので、葉の裏をめくってチェックする習慣をつけましょう。ハダニは、初期段階であれば被害はごくわずかです。この段階で発見し、対処することが、夏の爆発的な大発生を防ぐための、最も確実な方法なのです。
ハダニ(赤蜘蛛)を寄せ付けないための予防策